■遺言書で全部寄付!できる?(遺留分) 遺留分の解説

結論から言うと、

できます!

ただし、相続人に法律上与えられた最低保証分についてのみ、相続人に請求されれば、渡さなければなりません。

この相続人に法律上与えられた最低保証分を、遺留分(いりゅうぶん)と言い、相続人が遺留分を侵害されたとして遺留分を請求することを遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)と言います。

つまり、遺言者が遺言で相続財産を相続人以外の人にどのように遺贈するか、あるいは特定の相続人に大半を相続させるかは自由ですが、その受け取った人は遺留分減殺請求を受ければ、遺留分の限度まで遺留分減殺請求者に渡さなければなりません。

もし、遺留分減殺請求がなければ、そのままもらってしまっても構いません。

でも遺留分を侵害するほどの遺贈や相続分を受けた人は、いつ遺留分減殺請求されるかと思うと不安でしょうがありませんよね。

例えば遺言で遺贈を受けた土地建物に20年以上も住んでいるのに、ある日突然遺留分減殺請求だ!と言われて出て行けと言われても、困ってしまいます。。。

そこで、法律では遺留分減殺請求を行使することができる期間を定めました。これは、遺留分権を持つものが、相続の開始及び減殺すべき遺贈や贈与を知ったときから1年で、遺留分減殺請求権は時効により消滅して、遺留分減殺請求することができなくなります。

でもこれだけだと、20年後に遺留分侵害を知って請求してくるかも知れませんよね。。。

そこでさらに、相続開始から10年を経過したら、遺留分減殺請求権は時効により消滅すると定めました。

つまり遺言によって遺留分を侵害するほどの遺贈や相続を受けたとしても、死亡から10年間遺留分減殺請求されなければ、遺留分に関しては心配しなくても良いことになります。

 

■遺留分って誰がどれくらい持ってるの??

そうしたら次は誰が遺留分権を持っているのか、そして遺留分はどれくらいなのか、ということが気になると思います。これは、どんな関係の人が相続人になるかによって異なってくるんです。

まず、遺留分があるのは被相続人の兄弟姉妹以外の相続人です。相続人が兄弟姉妹のみの場合は、遺留分はありませんので、極端な話、遺言で財産を全部遺贈しても誰も文句言えないことになります。

つまり、遺留分を持つ相続人は、配偶者直系卑属(ちょっけいひぞく・子など、その人よりも後の世代)、直系尊属(ちょっけいそんぞく・親など、その人よりも前の世代)です。

それぞれの相続人の場合誰がどれだけの遺留分を持つかというと、次のとおりです。

 

★配偶者と子が相続人になる場合

配 偶 者
(子全員で)  1/4 1/4


★配偶者のみが相続人になる場合

配 偶 者
1/2


★子のみが相続人になる場合

(子全員で)  1/2


★配偶者と直系尊属(父母)が相続人になる場合

直系尊属(父母) 配 偶 者
(直系尊属全員で)  1/6 1/3


★直系尊属(父母)のみが相続人になる場合

直 系 尊 属 (父母)
(直系尊属全員で)  1/3


★配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合

兄 弟 姉 妹 配 偶 者
ナ シ !! 1/2


★兄弟姉妹のみが相続人になる場合

兄 弟 姉 妹
ナ シ !!


相続人がいる場合は、以上のパターンのどれかに該当するはずです。

■例

配偶者のみが相続人となる場合で、被相続人が遺言ですべての財産を他人に遺贈したとしましょう。

この遺言は有効です。ただし、配偶者のみが相続人となる場合の配偶者の遺留分は1/2ですから、配偶者は遺贈を受けた人に対し全体の1/2を遺留分減殺請求をして取り返すことができます。

この遺留分減殺請求を行使しなかった場合は、遺贈で財産を受けた人のものとなります。


このように、遺言書を作成するときは遺留分に充分注意して作成しなければなりません。

ただし遺留分減殺請求がなければ遺留分を侵害した部分も有効ですので、効果が無いとは言い切れません。それが遺言者の意思なのですから。。


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