遺言書の種類、作り方は法律で定められています。 それ以外の方法で作成されたものや口頭で言ったものは無効で、法的効力を生じません。 せっかく遺言書を作成しても、無効になってしまっては元も子もありません。かえって紛争の種になってしまう可能性すらあります。。。そのため、よく注意して作成する必要があります。 ただ、生前に被相続人が言っていたことを遺産分割協議の際に考慮して合意することなどは自由です。
■遺言書の種類遺言は大きく分けて2つの種類の遺言があります。 普通方式の遺言と、特別方式の遺言です。 ただ、特別方式の遺言は難船危急時遺言など一般的ではないので、ここでは普通方式の遺言について解説します。
@自筆証書遺言A公正証書遺言B秘密証書遺言このうちのどの種類の遺言書を作成しても構いません。 以下、それぞれ説明します。
■自筆証書遺言これは方法としては一番簡単で、費用もかからない方法です。 まず、遺言者が全文、日付、氏名を自筆で書いて、印を押せば終わりです。 全部自筆で書かなければならないので、ワープロ打ちでは無効です。 また日付も正確に特定できなければならないので、「平成14年5月吉日」は無効です。 ですのでまあ、奇をてらわずにきちんと日付を書くのが一番いいでしょう。。。 署名は、普通は本名でしますが、広く知られているならば芸名でも有効です。押印は実印でなくとも認印でも有効です。拇印は有効か無効かで長年争われてきましたが、一応有効という最高裁判決が出ました。ただ、判断の極めて難しいところですから、法律の条文どおり押印しましょうね。。。 また偽造や変造、隠匿のおそれも否定できません。 さらに封印されている自筆証書遺言の場合は、死後発見してもすぐに開封することはできません。開封する前に家庭裁判所へ持って行って、「検認手続」というものをしなければなりません。これは自筆証書遺言が遺言者の意思によって作成したものかどうかを確かめ、遺言書の偽造や変造、紛失を防止するために必要とされています。 だいたい検認手続には1ヶ月くらいかかります。 この検認の手続をしないで遺言書を開封しても、遺言が無効になるわけではありませんが、その開封した人は5万円以下の過料に処せられることがありますので注意してください。
■公正証書遺言公正証書とは、公証人が作成した文書のことです。 公証人とは、主に裁判官や検察官の退職者等、法律を専門とする地方法務局嘱託の公務員で、各地の公証役場で執務しています。公証人の作成した文書は公文書として、強力な効力を持ちます。遺言の話ではありませんが、お金の貸し借りなどを公正証書にすることによって裁判抜きで強制執行することもできる場合もあります。 そのため、遺言を公正証書ですることは、非常に確実・安全であり、その確実性ゆえ自筆証書遺言等で必要な検認手続も不要で、死後すぐに遺言の内容を実行することができます。 さらに公正証書の原本は公証役場に保管されるので、紛失・変造の心配もありません。遺言をするのならば文句なしでオススメの方法です! 公正証書遺言をするにはまず、証人2名が必要です。 証人は誰でもなれるわけではなく、成年者であることが必要で、推定相続人やその配偶者、ならびに直系血族等は証人になれません。そして証人2人を連れて公証役場に出向き、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口述し、公証人がこの口述を筆記します。筆記したら、公証人が遺言者と証人に読み聞かせるか閲覧させて、遺言者と証人が署名・押印して、公証人も署名・押印して完成します。 また遺言者が入院中など、公証役場に出向くことができないときは公証人が病院等に出張することもできます。 ただし、公証人に支払う日当と交通費がかかります。。。 公証役場に出向く場合より、1.5倍くらい費用が多くかかることが多い感触です。
■秘密証書遺言秘密証書遺言はズバリあまり利用されていないようです。 作成方法としてはまず、自筆でなくてもワープロでも代筆かまいません。さらに日付も不要です。 ただし署名・押印は必ず必要です。 それで完成したら、それを封筒に入れて、証書に用いたのと同じ印章で封印します。 そうすると公証人が証書の提出された日付と遺言者の申述を封書に記載してくれるので、遺言者、証人、公証人全員が封書に署名・押印して秘密証書遺言が完成となります。遺言の内容を公証人にも証人にも秘密にできるので、とにかく秘密にしたいという人は利用価値があると思います。ただし自筆証書遺言と同じく、遺言者の死後すぐには開封できず、家庭裁判所に検認の申立をしなければなりません。
以上の中から自分に合った遺言の方式を選ぶことになります。
|
copyright 2002-2018 遺言相続完全手続きマニュアル!