■全員集合!遺産分割協議! |
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相続人も確定し、相続財産も明らかになった。とすると、後はどの相続人がどの財産をどれだけ手に入れるのかを決める協議、遺産分割協議を行います。
遺産分割協議には相続人全員が参加しなければなりません。もし相続人を1人でも抜かして協議をした場合、その遺産分割協議は全部無効です。また、相続人でないものを加えて遺産を分割するという協議も無効となります。また、遺産分割協議は相続人全員の同意が無ければ成立しません。1人でも反対した場合にはいつまで経っても協議成立とならないのです。
ただし全員の同意が必要と言いましても、必ずしも相続人全員が一堂に会する必要は無く、連絡を取り合って持ち回りで協議を成立させることも可能です。
ちなみに遺産分割協議は1度成立してしまうと、原則として相続人全員の合意が無い以上はやりなおしができません!
相続人全員の合意がなくてもやり直しができるのは、上記のように無効の場合など、ごく一部の場合に限られます(というよりも初めから無効なので、やり直しとは言わないとも言う)。
また、相続人全員の合意があればやり直しはできるということですが、例えばAさんが全部相続することになったのに、やり直してBさんが全部相続するというように変更した場合、これは税務上はAさんからBさんへの贈与とみなされて、Bさんが贈与税を支払わなくてはならないこともあり得ますので、注意してください。このように遺産分割協議のやり直しはいろいろと困難が付きまとうということを覚えておいてください。
そして、遺産分割協議が成立したら遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は必ず作成しなければならないわけではありませんが、不動産や預貯金、自動車等の名義変更の時に必要となりますので、作成することが多いですし、また後日の紛争防止の観点からも作成することが望ましいでしょう。
遺産分割協議書は便箋でもプリンタ用紙でも、手書きでも印字でも、縦書きでも横書きでも、A4でもB5でも、特に決まりはありませんので方式は自由に作成できます。最近はパソコンのワープロソフトで作成してプリントして、各自署名・実印押印というパターンが多いでしょう。ただし不動産や預貯金等の名義変更の際に提出するわけですから、不動産の表示(地番、地目、地籍、など不動産登記簿謄本とまったく同じに記載する)や口座番号などは正確に記載する必要があります。そうでないと名義変更できません。また、相続人全員が署名して、実印で押印して、なおかつ印鑑証明書を添付するというのが通例です。通例とはどういう意味かと言いますと、基本的に印鑑証明書がなければ手続きできないという意味です。
つまり必須と考えて良いでしょう。不動産等、印鑑証明書がないと名義変更できないものも多いです。
そして遺産分割協議書は、相続人の数だけ作成して、それぞれみんな1通ずつ保管するようにします。また、名義変更の際に提出する場合もありますから、できれば不動産の数、預貯金の数だけ作成しておけば、作り直しの手間がかかりませんのでより確実です。
例えば、
不動産登記→提出
銀行預金名義変更→提出(ただしコピーして返してくれるところもアリ)
自動車移転登録→陸運局所定の書式の遺産分割協議書を提出
という具合です。
あと、もし確実に作成したい場合には弁護士や行政書士などに依頼するのもよいかと思います。
■遺産分割協議書の例
遺 産 分 割 協 議 書
平成20年○月○日に死亡した被相続人 人形町太郎 の相続財産について、同人の相続人全員は次のとおり遺産分割の協議をした。
記
1.相続人 人形町一郎 が相続する財産
(1)次の土地
所在 東京都世田谷区○○町
地番 12番1
地目 宅地
地積 121.23平方メートル
(2)次の家屋
所在 東京都世田谷区○○町 12番地1
家屋番号 12番1
種類 居宅 構造 木造カラー鉄板葺2階建
床面積 1階 45.21平方メートル 2階 39.12平方メートル
(3)上記居宅内にある家財一式
2.相続人 人形町一美 が相続する財産
(1)東京三星銀行日本橋支店 普通口座 口座番号12345678 被相続人名義の普通預金 8,287,123円
以上
上記のとおり遺産分割協議が成立したので、これを証するため本書2通を作成して署名押印し、各自1通ずつ保有する。
平成21年○月○日
東京都世田谷区○○町3丁目2番1号
相続人 人形町一郎(←直筆署名) 実印
千葉県船橋市○○町1丁目2番3号
相続人 人形町一美(←直筆署名) 実印
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