■小規模宅地等の評価減の特例とは何だ?

 

相続税の減額

 

故人の居住用の宅地や、事業を営んでいた宅地が相続税によって奪われてしまっては、遺族の今後の生活がままならなくなってしまいます。そのために、生活に必要な住居や事業用の宅地に関しては相続税の評価額を減額して、生活を保護しようというのがこの制度の趣旨です。

この特例を受けられるのは、相続遺贈によって宅地を取得した個人のみです。贈与によって不動産を取得しても、この特例は利用できません。ちなみに遺贈とは、遺言書によって財産を贈与する旨を記しておくことです。自分の死後に相続人以外の人に財産を取得させたい場合に、どこどこの土地はは誰々に遺贈する、と記すのが遺贈の代表的な例です。

 

■そしてその特例の内容とは?

 

・どの土地が対象になるのか・・・

故人や、生計を共にしていた親族が、居住や事業のために使っていた土地です。借地権も含まれます。つまり、借地権も評価減の特例を受けることができます。
ただし、居住用や事業用の建物が建っている必要があります。自宅やアパート等を想定してください。更地では減額は受けられませんのでご注意を。アパートを建てると相続税対策になる、、等々の話の根拠はこのあたりにあります。


・評価減の適用を受けるには・・・

相続税の申告期限(他界日の翌日から10ヶ月以内です)までに、遺産分割協議を完了させて、誰がどの財産を相続するかが確定していなければなりません。もし期限までに協議がまとまらない場合には、期限内にとりあえず評価減の特例を利用しないで相続税の申告と納付をしておき、後日協議がまとまった段階で相続税の申告をし直して、もし過払いの税があれば還付を受ける、という手続になります。ただしこの場合でも申告期限後3年以内でなければ修正できませんので、ご注意ください。


・どのくらい評価減になるの??

さていよいよその評価減の内容です。自動車保険のCMみたいですが最大で80%の評価減になります。つまり8割引になりますので、今すぐお電話を、じゃなくて利用しなければ損です。。80%減が利用できなくとも、50%減が利用できることもありますので、その点も見逃さないようにしてください。


評価減の内容をみてみましょう

 

■居住用の宅地■

故人の配偶者が土地を取得した場合

240uまでの部分につき80%の評価減

(左の場合を特定居住用宅地といいます)
故人の同居親族が取得して、申告期限までに引き続き居住している場合

故人と生計を共にしていた親族が取得して、相続開始前から申告期限まで事故の居住の用に供している場合

故人の配偶者も同居親族もいない場合、過去3年間マイホームに居住したことがない親族が取得し、申告期限までに引き続き所有している場合。所有さえしていれば、居住はしていなくても可です。

上記以外の居住用の宅地
(引き続き居住云々等の要件を満たしていない場合など)

200uまでの部分につき50%の評価減

 

■事業用の宅地■

故人の事業を引き継ぐ人がその土地を取得して、申告期限まで引き続き事業を継続している場合

400uまでの部分につき80%の評価減

(左の場合を特定事業用宅地といいます)
故人と生計を共にしていた親族が取得して、故人の死亡前から申告期限まで自己の用に供している場合

故人と生計を共にする親族で50%を超える株や出資分をもし会社の事業用宅地で、申告期限まで引き続きその会社の事業の用に供し、取得した一定の親族が申告期限まで取得している場合

400uまでの部分につき80%の評価減

(左の場合を特定同族会社事業用宅地といいます)

上記以外の場合
(引き続き事業継続云々等の要件を満たしていない場合など)

200uまでの部分につき50%の評価減

 


・この特例を利用するには

この小規模宅地等の評価減の特例を利用するには、前述のとおり相続税の申告期限内(10ヶ月以内)に相続税の申告をしなければなりませんので、ご注意ください。

この特例を利用すれば、相続財産がいわゆる通常の自宅と少々の預貯金のみということでしたら、相続税が結局はかからない場合がほとんどということです。
ただし都心部などではいわゆる「通常の自宅」がかなりの評価額であることもありますので、油断はできません。

 


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