相続財産を調査して財産目録を作る  

相続財産調査マンガ



相続人が確定したら、次はいよいよ相続財産を調査します。相続手続は単純に言うと、「誰が」「何を」相続するか決めて、それぞれ名義変更して、場合によっては相続税等を納めて、完了ということになります。


そのため、どんな相続財産があっていくら位するのかがわからないと、何も進みませんよね。そのためにどんな相続財産があって、いくらの価値があるか調査する必要があるのです。それで、どんな形でもいいのですが相続財産目録を作成して、後の遺産分割協議に備えます。また、相続税が課税される場合は税務署提出用の所定の財産目録の用紙がありますので、それに記入します。

まず、亡くなった方(被相続人)の持ち物を全部調べます。預金通帳、土地・建物の権利証、株券、有価証券、借用書、契約書、生命保険、自動車検査証、美術品・・・いろいろと出てくると思います。

それらが被相続人の名義になっていれば相続財産となる可能性が高いです。例えば土地の権利証などは、既に土地を他の人に売り払ってしまっているのに権利証がそのまま残っているというケースも考えられますので、必ず後に述べる登記簿謄本等でチェックする必要があります。


■預貯金

まず、預貯金は通帳をみればわかります。記帳していない場合もあるので必ず記帳しに行くか、銀行などの窓口で残高を聞きましょう。そのとき被相続人との関係を示す戸籍謄本等&身分証明書の提出を求められることがありますので、事前に問い合わせる必要があります。


■不動産

次に不動産ですが、これはその不動産を管轄する法務局で不動産登記簿謄本を取得します。不動産登記簿は公開されていますので、誰でも請求できます。身分証明書等は必要ありません。ただし、手数料がかかります。1つの不動産の謄本1通に付き1、000円です。

気をつけていただきたいのは、日本では土地と建物は別々の不動産とされていますので、例えば被相続人が土地と建物を所有していた場合、土地の登記簿謄本と建物の登記簿謄本、それぞれ1通、合計2通取得する必要があります。手数料は2,000円ですね。

ちなみにこの手数料は現金ではなくて「登記印紙」という特別な印紙で支払います。これは法務局へ行けば必ず法務局の中、あるいは近くに売っています。「収入印紙」では受け付けてくれませんのでご注意を!
その不動産を管轄する法務局はこちらの法務局一覧から、不動産がある最寄りの法務局へお問い合わせください。


さて不動産登記簿謄本が取れました。被相続人はその不動産にどんな権利を持っていましたか??


所有権・地上権・賃借権・永小作権・・・と権利の種類はたくさんあります。一番わかりやすいのが所有権でしょうね。所有権を相続できるというのはカンでわかりますよね。その他にも、地上権、賃借権なども相続できるんです。ただ、相続財産としていくらの価格になるかというと、ケースによってかなり異なってきます。。


さらに、他人の権利、抵当権・根抵当権・質権・・・などがたくさんついている場合があります。これは単純に言うとローンや借金の担保としてその不動産を狙っている人間がたくさんいるということです。一般的に、これらの他人の権利が付いているほど不動産の価値は下がります。。(ただし、登記簿を正確に解読するにはかなりの法律知識が必要になってきますので、自信のない場合は必ず専門家に相談してください。)

・・・このように不動産の価格を評価することは様々な要因がからんできて、非常に難しいのです。もし相続税が課税される場合は主に路線価図(税務署等に備えてある)を参考に、それに修正を加えた評価額を使用します。

さらに市町村役場(東京都では都税事務所)に行って固定資産税評価証明を取得しましょう。これは第三者は請求できないので、被相続人との関係を示す戸籍謄本等と身分証明書を持参しなければなりません。他人に頼むときは委任状が必要です。これには、その不動産の固定資産税課税のための評価額が記載されています。実務上は、遺産分割協議などの時にはこの価格を使用することが多いようです。


■生命保険金

被相続人に生命保険が掛けられていることは多いでしょう。死亡によって保険金が下りる場合、この保険金は相続財産になるのでしょうか??
単純に言うと、保険金の受取人が被相続人ならば相続財産になります。受取人が他の人ならばその人のもので、相続財産ではありません。この場合は相続財産ではない以上遺産分割協議の対象にはなりません。(ただし、相続税の計算上は「みなし相続財産」として、相続財産に含めて計上します。混同してしまいそうですが、あくまでも税金の計算上のみの話です。)


■株式

株式も価格の評価が難しいものの一つです。上場株式であれば一定期間の平均価格や、相続日・相続の月・相続の前々月の最低価格を採用したりします。
店頭登録株であれば公表されている類似業種の価格の平均を採用したりします。
非上場株式の場合は、その会社の事業内容や経営状況を勘案して相続人で協議して決めるという方法が実務上は多いでしょう。公認会計士に評価を依頼する方法もあります。


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